COLUMN

『遺留分侵害額請求』と『遺留分減殺請求』

法律知識

2023/01/24

法律の用語は一般的に馴染みのない呼称となっていることが多々ありますが、それゆえに、法改正等を機に親しみやすい呼称に変えられる場合があります。

例えば、昔は別居中の親が子どもと会うことを『面接交渉』と呼んでいました。
しかし、親子なのに面接だとか交渉だとか、いかにも固すぎる名称で、せっかく親子で会うのに水を差すようなものでした。
そのため、今では『面会交流』という呼び方をしています。多少はマイルドになった感じでしょうか。

それと似たようなことが相続の分野でもありました。

『遺留分』というものがあります。
昔は、遺留分に関する請求のことは『遺留分減殺請求』と呼んでいました。
また、遺留分減殺請求をした場合、遺留分を侵害した分が請求者に帰属することになるとされていました。
しかし、例えば不動産の贈与で遺留分を侵害した場合、不動産の名義の一部を請求者に変更するわけですが、そうすると不動産の権利関係が複雑になるため、実際には不動産の評価額を基に金銭的解決をすることがほとんどでした。

そこで、平成30年の法改正で、遺留分は原則として金銭的請求のみができるというように改正されました。
それにあわせて、名称も『遺留分減殺請求』から『遺留分侵害額請求』に変わりました。
必ずしも名称まで変更する必要は無かったろうと思いますが、やはり『減殺』というのでは分かりにくいし読みにくかったのでしょう。

 


【執筆者】

弁護士 佐瀬達哉

東京と大阪で弁護士として勤務した後、2008年から札幌で葛葉法律事務所を開所。
離婚、相続などの家事事件に関する解決実績多数。
相続では使途不明金や共有不動産に関する訴訟案件などにも対応。