COLUMN

『相続探偵』に見る弁護士業

法律知識

2023/01/18

『相続探偵』という漫画があります。
元弁護士で今は探偵をしている主人公が相続紛争に絡んだ事件を解決していく、というような内容です。
弁護士の業界誌である『自由と正義』の2022年9月号に、『相続探偵』の法律監修をしている弁護士のコラムが掲載されていました。
それによると法律監修で特に注意しているのが「主人公が非弁行為をしないように」とのことで、弁護士らしいなと思いました。
恐らく読者としては非弁行為かどうかなんて気にしないと思いますが、主人公が非弁行為をやりだすと「元弁護士」という設定が無意味化しかねないので、リアリティを出すという面では重要なことだろうと思います。

非弁行為というのは、簡単にいうと、弁護士以外の者が報酬をもらいながら法律事務をすることをいいます。
これは法律により禁止されています。
要するに、仕事としての弁護士業務は弁護士しかしてはいけないよということです。

ところが、漫画ではなく現実世界で、非弁行為と疑わしい事例が見受けられます。
特に相続に関していうと、インターネットで「相続 札幌」などで検索すると上位に表示されるサイトがあります。
「〇〇相続相談所」とか「〇〇相続相談センター」などといったサイトですね。
で、その運営主体を見ると、司法書士だったり行政書士だったりします。
しかし、司法書士や行政書士は、相続に関して調停も審判も裁判もできません。よくそういったサイトで「実績〇〇〇〇件」などと掲載されていますが、その実績の中には調停や審判や裁判の実績は1件も含まれていないのです。
そうするとどういうことかというと、本当に依頼者のために突き詰めて事件処理するのではなく、調停等にならないように適当なところで妥協して協議でまとめている可能性があるわけです。
実は、調停等ができないから協議でまとめるというのも、原則として弁護士しかできず、司法書士や行政書士がすると非弁行為に該当します。

最近、インターネットで相続や離婚などについて、「〇〇さん(仮名)の場合は~」などというケース紹介の体裁をした記事があります。
しかし、その内容を読んでみると、執筆者(弁護士ではなく〇〇カウンセラーなどが多い)が良かれと思って教示している内容が、実は全く良くないどころか依頼者にとってますます不利な結果を招いているケースが散見されます。
なぜそうなるかというと、弁護士でない執筆者としては、調停等をした経験がないため、調停等の選択肢を柔軟に考慮することができないからというのが理由のひとつにあると思います。

 


【執筆者】

弁護士 佐瀬達哉

東京と大阪で弁護士として勤務した後、2008年から札幌で葛葉法律事務所を開所。
離婚、相続などの家事事件に関する解決実績多数。
相続では使途不明金や共有不動産に関する訴訟案件などにも対応。