CASE STUDY

成年後見

母が認知症になったので成年後見を利用しようと考えているのですが、どういった手続になるのでしょうか?

【ご相談者】栃木県 60代男性(自営)

解決結果

管轄の家庭裁判所で書式をもらい、専門医に所定の診断書を書いてもらうなどして、裁判所に提出します。その後、裁判所で事情聴取やご親族の意向確認などを行って、相当と認めれば成年後見人を選任します。

成年後見を始めるためには、ご本人(成年後見を受ける人)の住所地を管轄する家庭裁判所で手続をする必要があります。
住所地は基本的に住民票上の住所ですが、例外的に長期間住民登録地を離れて施設に入所している場合などは、施設の所在地を管轄する家庭裁判所とする場合もあります。
家庭裁判所には成年後見申立のための書式が備えられていることが多いので、まずは管轄の家庭裁判所に行き、書式を受け取ってきます。


書式を受け取ったら、主に必要となるのは、①ご本人の診断書の作成と、②ご本人の財産や収支に関する資料の整理になります。

①診断書は家庭裁判所の所定の診断書を使用する必要があります。受け取った書式の診断書をもって医師に診てもらいましょう。
その場合の医師は、基本的には精神神経科医か、ご本人の主治医でご本人の精神状況に通じている医師になります。

②財産や収支に関する資料とは、ご本人の通帳の写しなどになります。ご本人が不動産を所有している場合には、不動産の登記簿等も含まれます。


家庭裁判所に診断書等の書類を提出すると、裁判所で内容を精査します。裁判所に提出することを『申立て』といい、提出した人を『申立人』といいます。
裁判所は必要に応じて、申立人からの事情聴取、ご本人の意向調査、ご親族の意向照会などを行います。また、ご本人の精神鑑定を行う場合もあります。


精査の結果、成年後見が相当と認められた場合、裁判所は成年後見を開始する決定を出し、あわせて成年後見人を選任します。
成年後見人には、申立ての段階で成年後見人の候補者を推薦することができます。これまでご本人の介護をしてきた人などが推薦されることが多いです。
ただし、ご本人を巡って親族間で紛争が生じているような場合や、ご本人の財産が一定額を超えるような場合には、家庭裁判所が利害関係のない弁護士などを選任することがあります。

 


【執筆者】

弁護士 佐瀬達哉

東京と大阪で弁護士として勤務した後、2008年から札幌で葛葉法律事務所を開所。
離婚、相続などの家事事件に関する解決実績多数。
相続では使途不明金や共有不動産に関する訴訟案件などにも対応。

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