CASE STUDY

相続

父が10年前に他界したのですが、今になって父が友人の借金の連帯保証人となっていて、その友人が破産したとのことで債権回収会社から父の法定相続人である私宛に支払督促書が届きました。私は父から何も相続しなかったのですが、これは支払わないといけないのでしょうか?

【ご相談者】大阪府 30代男性(会社員)

解決結果

支払督促書が届いてから3ヶ月以内であれば相続放棄が認められる場合があります。

相続放棄とは、裁判所に相続を放棄する旨を申述することにより、最初から相続人とならなかったものとみなされるという手続です。
手続としては、裁判所に相続を放棄する旨の申述を記載した書面を提出し、裁判所がそれを受理する審判をすることにより、相続放棄の効果が生じます。


相続放棄は、自分が相続人となる相続の開始(被相続人の死亡)があったことを知ったときから3か月以内に行わなければならないとされています。
これについて、被相続人が秘密にしていた借金や保証債務があったなど相続人に落ち度がなく負債の存在を調査しきれなかった場合に関しては、その存在を知った段階で初めて相続の開始があったことを知ったことになるというのが、一般的な裁判所の運用です。
したがって、被相続人が死亡して数年経過してから、債権者から債務の返済を請求され、それにより初めて故人の借金を知ったという場合には、その請求をされた日から3か月以内であれば相続放棄が認められるケースがあります。


本件では、相続開始から10年経過していたので、通常であれば相続放棄は認められませんが、今回初めて債務の存在を知った旨の申述書を作成し、債務の存在を知った日が分かる客観的証拠として債権回収会社から届いた支払督促書を添付資料として提出したことで、相続放棄が認められました。

 


【執筆者】

弁護士 佐瀬達哉

東京と大阪で弁護士として勤務した後、2008年から札幌で葛葉法律事務所を開所。
離婚、相続などの家事事件に関する解決実績多数。
相続では使途不明金や共有不動産に関する訴訟案件などにも対応。

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