CASE STUDY

相続

夫と離婚し、子どもは私が引き取りました。元夫が死亡し、死亡退職金が支給されることになったのですが、離婚後に元夫と暮らすようになった義母が既に死亡退職金を受給してしまったようです。子どもは死亡退職金を相続したりできないのでしょうか?

【ご相談者】札幌市 30代女性(会社員)

解決結果

死亡退職金や死亡一時金は支給規程に基づいて支給されるので、相続の対象とはならないのが原則です。そのため、支給規程を確認し、誰が最優先順位の受給者となるのかを確認する必要があります。

会社の従業員が死亡した場合、会社から遺族に死亡退職金が支払われることがあります。
公務員の場合は、法律や条例に基づいて死亡退職手当が支給されます。
個人事業主の場合でも、小規模共済や確定拠出年金などで契約者が死亡した場合に死亡一時金を支給されることがあります。

このような死亡退職金や死亡一時金は、それぞれの支給規程に基づいて支給されるものであるため、相続の対象となる遺産とはならないとされるのが基本です。


支給規程では、受給者となる候補者が順位づけられて規定されているのが一般的です。
支給規程の内容が単に「第1順位 配偶者」「第2順位 子」「第3順位 親」となっていれば、誰が受給者となるのか客観的に明確です。
しかし、基本的に死亡退職金は死亡者の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的としているため、「職員の死亡の当時、主にその収入により生計を維持していた者」などという定め方をされていることが多いです。
その場合、「主にその収入により生計を維持していた者」という要件に該当するかで争いになるケースもあります。


本件では、離婚して別居していた子が「主にその収入により生計を維持していた子」に該当するかという解釈の争いが生じる事案でした。
そして、子が相場よりも高額の養育費を送金されていたこと等を明らかにした結果、最終的に子が最優先順位とされ、改めて死亡退職金を受給することができました。

 


【執筆者】

弁護士 佐瀬達哉

東京と大阪で弁護士として勤務した後、2008年から札幌で葛葉法律事務所を開所。
離婚、相続などの家事事件に関する解決実績多数。
相続では使途不明金や共有不動産に関する訴訟案件などにも対応。

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