COLUMN

葬儀費用と香典

相続

2023/01/31

被相続人の葬儀費用を誰が支払うか、という問題があります。

一般的には、葬儀費用は被相続人の遺産の中から支出することが多いと思われます。
その場合、相続人の誰かが(あるいは全員で)いったん葬儀費用を支払い、支払った分を遺産から優先的に清算するということになります。
その時に清算する金額ですが、葬儀費用から香典を控除した残額となります。つまり、まずは香典から葬儀費用に充当し、それでも不足する場合に遺産から清算するということになります。

しかし、相続人間で葬儀費用の負担について揉める場合もあります。
揉めた場合、葬儀費用を遺産と清算することができず、最終的には訴訟で解決しなければならなくなります。
この点、葬儀費用は原則として、法的には喪主(施主がいる場合は施主)の負担になると解されています。そうなると、喪主(施主)が負担せざるを得ないことになります。
だだ、慣習的には遺産から清算するということが一般的かと思われますので、そのようになるケースもあるでしょう。

なお、葬儀費用よりも香典の方が多い場合、香典から葬儀費用に充てた後の残金をどうするかという問題もあります。
これについては定説がなく、喪主(施主)に帰属する見解と全相続人に帰属するという見解に分かれます。

 


【執筆者】

弁護士 佐瀬達哉

東京と大阪で弁護士として勤務した後、2008年から札幌で葛葉法律事務所を開所。
離婚、相続などの家事事件に関する解決実績多数。
相続では使途不明金や共有不動産に関する訴訟案件などにも対応。